世の中には沢山の教本がありますが、遠方の大型楽器店に行かないとなかなか内容を目にできないと思います。

現役ピアノ講師の筆者が、実際に使っている教本の感想と、使用法を徹底解説します!
教本選びの参考になれば幸いです。
この記事の内容
・どりーむ1の特徴
・ピアノ講師の実際の使用法
・購入者の口コミ
・どりーむ1が向いている人
・レベルや何歳が適切?などFAQ
この記事の執筆者


『ぴあのどりーむ4』の特徴と内容


全体の特徴
・全26曲
・「はじめて習う子に負担のないカリキュラム」がコンセプト
・中央ドから、左右に広がる始まり方
・指導者、保護者へ向けた教本の解説が載っている
・イラストが多く、美しい見た目
・楽譜が見やすい
・ほとんどが田丸信明さんの作曲
・ゆっくり段階的な進度
・19曲目までは4小節だけの曲
・ほとんどが先生の伴奏つき
・まずは絵と歌詞で、感覚的な演奏を目指している
学習内容
楽典やテクニックは教本説明に加え、筆者が選別して記載しています。
楽典
・音域はイ~1点ホ
・指番号


※どりーむ1では、曲の中に4分音符などは登場しますが音価や音符名への言及はありません。
そのため楽典ではなく、テクニック欄に登場するものを記載しています。
テクニック
・片手奏
・両手交互奏
・1~3指までの演奏
・ト音記号
・ヘ音記号
・4分音符
・4分休符
・2分音符
・付点2分音符
各楽曲の特徴と解説
収録されている曲の特徴、要されるテクニック等について解説します。
色付きは、特筆すべき学習内容です。
色付きは、学習内容の多い曲です。
この教本の収録曲のほとんどは、「田丸信明」さんが作曲しています。作曲者が異なる場合のみ記載します。
※詳細は、曲名をタップしてください。
p.4-5 先生、ご両親へ
この教本のレッスン目標と、各曲の指導のポイントが丁寧に書かれています。
p.6-7 てのゆびばんごう を おぼえましょう
左右の手のイラストと、指番号が大きく書かれています。
指の歌、というオリジナル曲も載っています。
p.8 ど を おぼえましょう
中央ドが、ト音記号とヘ音記号で書かれています。
1.あひるのさんぽ
・4/4拍子
・ト音記号のドのみで構成
・歌詞付き
・4分音符
・4分休符
・先生の伴奏あり
・右手のみで演奏
大譜表で書かれています。
拍子、音価についての言及はありません。
2.ことりが トントントン
・4/4拍子
・ヘ音記号のドのみで構成
・歌詞付き
・先生の伴奏あり
・左手のみで演奏
「あひるのさんぽ」と同じ曲が、ヘ音記号で書かれており、左手で弾くよう指示があります。
3.みぎてと ひだりて
・4/4拍子
・ト音記号、ヘ音記号のド
・右手→左手で弾くよう構成
・歌詞つき
・先生の伴奏あり
4.ちいさな ボール
・4/4拍子
・はじめて左右交互奏に
・左右交互のド
・歌詞つき
5.もりの うんどうかい
・4/4拍子
・左右交互のド
・歌詞付き
p.14 どとれ をおぼえましょう
大きな楽譜で、ト音記号のドとレ、ヘ音記号のドが示されています
6.いちばんぼし:わらべうた
・4/4拍子
・右手のみのド、レ
・歌詞つき
7.ともだち 3にん
・4/4拍子
・両手交互奏
・ド、ド、レ
・歌詞つき
・先生の伴奏つき
8.ドレドレ ピアノ
・4/4拍子
・両手交互奏
・ド、ド、レ
・歌詞つき
9.あめがすき
・4/4拍子
・両手交互奏
・ド、ド、レ
・歌詞つき
10.あめあがり
・4/4拍子
・両手交互奏
・ド、ド、レ
・2分音符が登場
※音符の名前や音価の言及なし
・歌詞つき
・先生の伴奏つき
p.20 しどれ をおぼえましょう
ヘ音記号のシ、ドとト音記号のド、レが大きく示されています
11.ぞうさん のっし のっし
・4/4拍子
・両手交互奏
・シ、ド、ド、レ
・歌詞つき
・今まで習った全てが登場
(シ、ド、ド、レ、4分音符、2分音符、4分休符)
12.ありさん いそいで
・4/4拍子
・両手交互奏
・シ、ド、ド、レ
・歌詞つき
13.おてつだい
・4/4拍子
・両手交互奏
・シ、ド、ド、レ
・歌詞つき
14.パパとドライブ
・4/4拍子
・両手交互奏
・シ、ド、ド、レ
・歌詞つき
15.かわいい こいぬ
・4/4拍子
・両手交互奏
・シ、ド、ド、レ
・歌詞つき
・先生の伴奏つき
16.しらゆきひめ
・3/4拍子
・両手交互奏
・シ、ド、ド、レ
・歌詞付き
・先生の伴奏つき
p.28 らしどれ をおぼえましょう
ヘ音記号のラ、シ、ドとト音記号のド、レが大きく示されています
17.くるくるまわる
・4/4拍子
・両手交互奏
・ラ、シ、ド、ド、レ
・歌詞つき
18.おちばの ひこうき
・4/4拍子
・両手交互奏
・ラ、シ、ド、ド、レ
・歌詞つき
19.いちごミルク
・3/4拍子
・両手交互奏
・ラ、シ、ド、ド、レ
・歌詞つき
・先生の伴奏つき
20.ゆめのなかの おほしさま
・4/4拍子
・付点2分音符が登場
※名前、音価の言及なし
・はじめて8小節にわたる曲として登場
・両手交互奏
・ラ、シ、ド、ド、レ
・歌詞つき
・先生の伴奏が素敵
21.おはな ばたけ
・3/4拍子
・8小節
・両手交互奏
・ラ、シ、ド、ド、レ
・歌詞つき
22.かなしいこと
・4/4拍子
・8小節
・両手交互奏
・ラ、シ、ド、ド、レ
・歌詞なし
・先生の伴奏つき
p.38 らしどれみ をおぼえましょう
ヘ音記号のラ、シ、ドとト音記号のド、レ、ミが大きく示されています。
この教本で習う全ての音が登場。
23.ふたりの やくそく
・4/4拍子
・4小節
・両手交互奏
・ラ~ミ
・歌詞つき
24.あしたは えんそく
・4/4拍子
・8小節
・両手交互奏
・ラ~ミ
・歌詞つき
・先生の伴奏つき
25.ほたる:わらべうた
・4/4拍子
・8小節
・両手交互奏
・シはなし
・歌詞つき
26.げんきなインディアン
・4/4拍子
・8小節
・両手交互奏
・シはなし
・歌詞なし
・先生の伴奏つき
長所と短所、使用法について解説
この教本の長所と短所、それをふまえた、筆者なりの使用法について解説します。
長所と短所まとめ
メリット | デメリット |
---|---|
〇無理なく読譜力が養える 〇幼児が喜ぶイラストイメージ 〇指導のポイント解説がある | △知っている曲が少ない △曲数に対して割高 |
メリット
長所1:幼児でも無理なく読譜力が養える
中央ドから、ト音記号、ヘ音記号で両手に広がっていくように進みます。
どりーむ1では、ラ~ミまでの6つの音だけの学習で、1つの学習内容を4~5曲かけて復習します。
よって、幼いお子さんでも無理なく読譜が定着してから次に進むことができます。



読譜力をしっかり定着させたいのに向いている教本です。
長所2:幼児が喜ぶイラストイメージ
どりーむ1では、まだ音価や音符名を覚える学習目標は出てきません。
イラストと歌詞でイメージをふくらませ、楽しく歌いながら感覚的にピアノに親しんでいけるように構成されています。



この教本を使うと、ほとんどのお子さんがイラストについて好意的な話をしてくれます。
長所3:著者による指導ポイント解説がある
音楽が専門でない保護者の方、幼児への指導が初めてのピアノの先生などにとって助けになる指導ポイント解説が丁寧に書かれています。



まずはお家でピアノを…という保護者の方にも使用しやすいかもです。
デメリット
短所1:知っている曲が少ない
お子さんが喜ぶ「知っている曲」の収録はほとんどありません。



「いちばんぼし」「ほたる」は、今のお子さんはあまり知らないかも…
短所2:価格に対して曲数が少ない
2024年の秋頃から値上げが実施されました。
他の同レベルの教本と比較した時に、割高感があります。



この教本じゃないと追いつけない…という人には最適ですが、そうでない人には他の教本が候補になりそうです。
ネット上の口コミと筆者の見解
良い口コミ



中央ドからの導入が無理なく、くり返し練習出来るので幼児に覚えやすい。 毎週◎が付く確率も高いので、達成感も味わえます。



無理のない進みなので、すぐに◎をもらえるのも達成・充実感になりますね!



ひらがなを読めるようになった娘が一生懸命読みながら弾いてます。
絵がとてもステキで絵本のよう。



字を覚えたてのお子さんは、読むのも大好き!歌詞つきで、歌から入れるのはとても良いです。やはり絵の美しさを多くの方が喜んでいるようです。
悪い口コミ



内容が分かりやすく良いのですが、知らない曲ばかりで、娘があまり興味を持ってくれませんでした。



5、6歳になると「知っている曲」を重視する子も増えます。
3歳くらいであれば、興味をもって取り組めるかもしれません。



紙質が良いせいか、値段が高い。
進みのはやい子にはおすすめしにくい。



紙がボロボロになりにくいという好意的な意見もありましたが、どんどん進んでいける子には割高感は否めません。
どりーむ1が向いている人、向いていない人
以上の教本の特徴から、筆者の結論を述べます。
どりーむ1が向いている人
・読譜力を養いたいお子さん
・3、4才からピアノを始めるお子さん
・無理なくゆっくり進みたいお子さん
・初めて幼児を指導するピアノの先生
どりーむ1が向かない人
・知ってる曲を弾きたいお子さん
・進みの早いお子さん
レベルや何歳が適切?など教本FAQ
親御さんたちのよくある疑問などに回答します。



どりーむ1は、何歳が適切ですか?



個人差ありですが、ピアノを初めて習う3~6歳くらいのお子さんに良さそうです。



どりーむ1は、バイエルだとどのくらい?



バイエルとは導入が全く異なり、比較できません。
バイエルはト音記号ばかりから始まるのに対し、どりーむは最初からト音記号とヘ音記号に親しめる点で優位だと感じる人が多いようです。
どりーむ1レビューまとめ
- 3~6歳のピアノ開始さん向け
- 読譜力をしっかり養いたい人向け
- 素敵なイラストでイメージをもって練習できる
- 幼児さんも無理なく定着して進める
- 知ってる曲を弾きたい子には向かない
- 進みの早いお子さんには向かない

