世の中には沢山の教本がありますが、遠方の大型楽器店に行かないとなかなか内容を目にできないと思います。
現役ピアノ講師の筆者が、実際に使っている教本の感想と、使用法を徹底解説します!
教本選びの参考になれば幸いです。
この記事の内容
・ジュニア3の特徴
・ピアノ講師の実際の使用法
・購入者の口コミ
・ジュニア3が向いている人
・レベルや何歳が適切?などFAQ
この記事の執筆者
『ピアノひけるよ!ジュニア3』の特徴と内容
全体の特徴
・「知ってる曲で弾ける」がコンセプト
・童謡のピアノアレンジがほとんど
・バイエル前半レベル
・収録曲数25曲(音の説明ページ曲省く)
・初級教本ながら、伴奏形が工夫されている
・曲は全てハ長調
・ジュニア2の復習と応用
学習内容
楽典やテクニックは教本説明に加え、筆者が選別して記載しています。
楽典
・音域はろ~2点ト
・リズムの書換え(付点4分音符とタイ)
・スタッカート
・8分休符
・加線の音
・強弱記号(f、p、mf、mp)
・速度記号
・たかいドレミファソ
・legatoの表記
テクニック
・手のポジション移動
・指かえ
・指ちぢめ
・指ひろげ
・左手簡易分散和音伴奏
・スタッカート
・指くぐり
・オブリガート
・カノン風
・強弱
・テンポ設定
・和音
各楽曲の特徴と解説
収録されている曲の特徴、要されるテクニック等について解説します。
色付きは、特筆すべき学習内容です。
色付きは、学習内容の多い曲です。
詳細は、曲名をタップしてください。
1.こいぬのマーチ:外国曲
・4/4拍子
・左手はハ長調I・Ⅴ分散和音伴奏のみ
2.あわてんぼうのうた:外国曲
・4/4拍子
・左手はハ長調I・Ⅴ分散和音伴奏のみ
3.メリーさんのひつじ:アメリカ民謡
・4/4拍子
・付点4分音符+8分音符
・タイ
・左手はハ長調I・V分散和音伴奏
・伴奏は最後でバスが少し動く
4.よろこびのうた:ベートーヴェン
・4/4拍子
・付点4分音符+8分音符
・左右にわたるメロディ
・左手はハ長調I・Ⅴ分散和音のみ
5.むすんでひらいて:ルソー
・4/4拍子
・右手のポジション移動
・ト音記号ラの音
・伴奏形の変化
・左手にオブリガート
※この曲以後、ほとんどの曲で右手ポジション移動あり
6.かえるのがっしょう:ドイツ民謡
・2/4拍子
・カノン風伴奏
・左手のポジション移動
・ヘ音記号ラの音
7.チューリップ:井上武士
・2/4拍子
・右手のポジション移動
・右手の指かえ
8.おもいで:ベイリー作曲
・4/4拍子
・右手指かえ
・右手指ちぢめ
・左手オブリガートあり
・左右にわたるメロディ
9.こぎつね:外国曲
・2/4拍子
・ト音記号のドの音
・左手オブリガートあり
10.とんぼのめがね:平井康三郎
・2/4拍子
・右手指かえ
・付点4分音符+8分音符
・左右指ひろげ
・左手オブリガートあり
11.アマリリス:フランス民謡
・4/4拍子
・アウフタクト
・スタッカート
12.てをたたきましょう:作曲者不明
・4/4拍子
・和音
・伴奏形の変化
13.むしのこえ:文部省唱歌
・2/4拍子
・ト音記号のシの音
・曲の途中のくり返し記号
14.かねがなる:フランス民謡
・4/4拍子
・下線のソの音
・カノン風の伴奏
15.すいかのめいさんち:アメリカ民謡
・2/4拍子
・下線のラの音
・曲の途中のくり返し記号
16.つきのひかりに:フランス民謡
・2/4拍子
・下線のシの音
・8分休符
・左手オブリガートあり
17.おおきなふるどけい:ワーク
・4/4拍子
・アウフタクト
・左右にわたるメロディ
・8分休符
・指くぐり
・和音の中に含まれたメロディ
18.アビニョンのはしのうえで:フランス民謡
・4/4拍子
・強弱記号の説明(fとp)
・指くぐり
・左右にわたるメロディ
・スタッカート
・いろいろな伴奏形
19.やまのおんがくか:ドイツ民謡
・4/4拍子
・スタッカート
・速度記号(Allegretto)
・アウフタクト
・左手和音伴奏
20.バケツのあな:アメリカ民謡
・3/4拍子
・mfの説明
・Allegretto
・右手の音域変化
・ト音記号の高いミ
21.ゆかいなまきば:アメリカ民謡
・2/4拍子
・Allegretto
・スタッカートとスラーの頻出
たかいドレミファソ
二点ハ~二点トの音までの説明と練習曲
楽譜にカタカナでドレミがふっている
22.ぶんぶんぶん:ボヘミア民謡
・2/4拍子
・Moderato
・右手音域変化
・mpの説明
・左手簡易分散和音伴奏
23.10人のインディアン:アメリカ民謡
・4/4拍子
・Allegro
・スタッカート
・左手和音伴奏
24.シューベルトのこもりうた:シューベルト
・4/4拍子
・legatoの表記
・指くぐり
・Andante
・左手アルベルティバス
25.あかいかわのたにま:アメリカ民謡
・2/4拍子
・アウフタクト
・Allegretto
・タイ
・指かえ
・指ひろげ
・付点4分音符
・左手アルベルティバス
・ハ長調Ⅳの分散和音登場
長所と短所、使用法について解説
この教本の長所と短所、それをふまえた、筆者なりの使用法について解説します。
長所と短所まとめ
メリット | デメリット |
---|---|
〇子どもの知っている童謡がほとんど 〇左手がよく動き訓練になる 〇伴奏パターンを覚えやすい 〇オブリガートが素敵 | △3拍子の曲が1曲のみ △左右別の動きが苦手な人には難しい | △後半で音域の進みが早い
長所1:耳なじみのある曲が多い
「知ってる曲で学べる」が人気の理由の1つ。
幼少のお子さんが知っている&歌える曲が多く収録されており、喜ばれやすい。
「知ってる曲でやる気が出る」人に最適です。
長所2:左手の練習に◎
初級教本では、右手メロディ+左手簡易伴奏のアレンジになりがち。
この教本では左手の動きも多いので、左手の指もよく訓練できます。
幼少のお子さん向けの収録曲でありながら、工夫された伴奏が多いなぁと感じます。
長所3:伴奏パターンを覚えるのに◎
教本前半の伴奏のほとんどが、ハ長調のI・Ⅴの分散和音でアレンジされています。
そのため、幼少のお子さんでも伴奏パターンを覚えやすいです。
教本中盤から、分散和音+オブリガートの左手が増えるので、いろいろな伴奏の勉強もできます。
短所1:読譜力向上には不向き
知ってる曲ゆえに、楽譜をしっかり読まなくても弾けてしまう人がいる。
途中から急に加線や音域が増え、定着が追い付かない可能性が高い。
筆者の体感では、後半に行くと前半の音域と混乱を起こすお子さんが多いと感じます。
短所2:3拍子の曲が1曲のみ
3拍子の曲が、「バケツのあな」のみ。
3拍子のリズム練習などは、教本と別で行った方が良いと思います。
短所3:左右別の動きが苦手な人には難しい
長所2に記載の通り、左手の動きが多い分、左右別が苦手な人には難しく感じる。
収録曲と、演奏難易度に少々ギャップがある。
収録曲だけ見て、3~5歳に使ってしまうと、苦労するかもしれません。よく弾けるお子さんなら大丈夫そう。
ネット上の口コミと筆者の見解
良い口コミ
「ジュニア2」にもあった曲が、難易度が増して再登場します。
レベルアップを感じるようで、小学生の息子は喜んでいます。
このシリーズの長所の1つですね。前の教本で出た曲が、少しレベルアップして再登場すると、お子さんは自身の成長を感じられるようです。
大人ピアノ初心者です。
ジュニア1.2を終えて3に入りましたが、曲らしくなり嬉しいです。
代わりに指が動かない部分もあり、進みは鈍りました。
ジュニア1.2まではメロディ主体でしたが、3では伴奏も難しくなり、ピアノ曲を弾いている実感がもてると思います。
ゆえに、人によっては急激に難しくなったと感じるかも。
悪い口コミ
ジュニア1.2と同じ曲があり、新鮮味がありません。
全く同じではなく、伴奏が変化して難易度は増しているのですが、新しい曲をどんどん弾いていきたい方には、そのように感じるかもしれません。
ジュニア3が向いている人、向いていない人
以上の教本の特徴から、筆者の結論を述べます。
ジュニア3が向いてる人
・知ってる曲でモチベーションが上がる人
・左手の強化をしたい人
・いろいろな伴奏形を勉強したい人
ジュニア3が向かない人
・左右別の手の動きが苦手な人
・3拍子のリズム強化が必要な人
・読譜力を強化すべき人
レベルや何歳が適切?など教本FAQ
親御さんたちのよくある疑問などに回答します。
ジュニア3は、何歳が適切ですか?
個人差ありですが、6~9歳くらいだと楽しく無理なく使えると思います。選曲の割に、左手が難しいので、3・4歳は少し大変かも。
ジュニア3は、バイエルだとどのくらいですか?
おおよそバイエル20~58番くらいです。(筆者調べ)
ただし双方の特徴は異なりますので一概に言えません。
どのくらいの期間で終わらせるのが普通ですか?
練習頻度や、どのくらいの完成度を求めるかで変わるので一概に言えませんが、2年以上かかるようなら教本が合っていないかもしれません。
ジュニア3レビューまとめ
- 知ってる曲でやる気アップに最適
- バイエル前半終了程度
- 左手の強化におススメ
- いろいろな基礎の伴奏形が学べる
- 読譜力・3拍子の強化には向いていない