暗譜が苦手です。
暗譜の方法やコツを教えてください!
この記事ではこんな疑問、お悩みを解決します。
・暗譜の練習手順
・確実な暗譜のための要素
・暗譜タイプ別傾向と対策
・なぜ暗譜が必要?
この記事の執筆者
暗譜の練習手順
暗譜って何からやるか分からない!という人へ。
ここでは筆者がよくやる練習方法を紹介します。
人により過程は異なると思いますので、1つの参考としてください。
まずは楽譜を見ながらしっかりスラスラ弾ける状態まで練習
スラスラ弾けるようになったら、楽譜を見ずに弾いてみる
↓
全然弾けなければstep1へ戻る
↓
7.8割弾けたら、覚えていない部分を重点練習
step3の練習も同時並行で行う
暗譜を強固にする練習をします
まずはstep1時点でやっておくべき練習をお伝えします
譜読み段階でやるべき暗譜の練習
効率よく暗譜するために、譜読み段階(step1)でやるべき練習は以下。
1.いつも同じ指使いで練習
指使いは、譜読みの段階で決めておきましょう。
決めたらその指使いどおりでいつも練習します。
どの指で弾いているか把握までできるとベスト。
片手→両手にした時、無意識に指使いが変わってしまう人は注意!
2.曲のどこからでも弾けるように練習
曲の長さに関わらず、どこからでも弾けるように区切って練習しておきましょう。
1.いつも同じ指使いで練習
2.曲のどこからでも弾けるように練習
step2では、step1に戻るべきか、step3に進むか確認し、覚えてない部分を練習します
次は曲が弾けるようになった後(step3)にやる暗譜練習をご紹介
暗譜のための練習12選
曲を通して演奏できるようになったら、暗譜のための練習(step3)も行います。
演奏者や演奏する曲のレベルによって、適切な暗譜練習は少し変化します。
※レベルが違う練習をやってはいけないわけではなく、オススメ毎にまとめました。
できるなら全部やってOK。
初級者・曲向け
1.曲を何度も聞く
演奏中、頭の中で曲の流れを追えていると、次の音が出てこないことは減ります。
2.メロディを音程つけてドレミで歌う
ドレミで音程つけて歌えるということは、以下ができているということ。
・リズムをおおよそ認識している
・次の音を確実に言語で覚えている
・次の音はどのくらい上がる?下がる?を認識している
テンポが速い曲はリズムとおおよその音程が取れるだけでもOK。
古典ソナチネレベルくらいまでは有効な方法。
さらに、拍をたたきながらメロディを歌う習慣があるとGOOD
3.片手ずつでも弾ける状態を維持
両手でスラスラ弾けるのに、片手ずつだと弾けない人がいます。
理由は両手のバランス感に頼って演奏してるから。
片方ずつ自立できていれば、片方がいなくなってもリカバリーしやすくなります。
とくに左手を忘れやすい人が多いので、左だけの練習もおススメ。
4.速い曲はゆっくり弾いてみる
テンポの速い曲の場合。
身体の勢いや記憶に任せきりで、細かい部分を把握してない場合があります。
1音ずつ確認できるテンポで弾くと、案外穴が見つかるかも。
そこが練習のポイントになります。
5.曲の構造を覚える
曲の構造には法則があることがほとんどです。
例えばきらきら星は、以下のA部分とB部分が、ABBAと並んでできています。
こうした曲の構造を覚えることも大事です。
6.楽譜を見て頭の中で曲を鳴らす練習
初級の方は演奏の時、身体の感覚だけに頼って弾いている傾向があります。
曲を本当に覚えているかどうか確かめるために、楽譜を見て頭の中で音を鳴らす練習をしましょう。
7.日頃から暗譜に取組む
日頃から暗譜に慣れておくとよいです。
中級者・曲以上向け
8.練習時間を増やす
初見や譜読が速い人は練習時間が短くなりがち。
練習時間を増やすことで、身体記憶を強くします。
9.楽典を理解する
楽典を理解できると暗譜力は格段に上がります。
例えば、楽典を理解している人としていない人で、以下の部分の覚え方を比較します。
ソミド、ミドソ、ドソミ…
ややこしい並びだなぁ。
楽典理解がない人は、ドミソの並び方を覚えなければと感じるでしょう。
ハ長調のIの和音の転回形が順番に並んでるだけね。
楽典理解がある人は、この部分は単純なドミソの転回形と感じます。
なので並びが分からなくなることもなく、1度見たら忘れません。
10.鍵盤を見ながら弾く
初見や譜読みが得意な人は、楽譜だけ見て弾く傾向があります。
そこで急に鍵盤を見ると位置感覚が鈍ることがあります。
そのため、楽譜でも鍵盤でもどちらを見ても弾けるようにしておくとよいです。
11.薄暗いところで弾く練習
楽譜や目線に頼らず、身体の感覚にフォーカスする練習です。
腕をどのくらいの距離で動かす等、身体の感覚を感じる練習をしましょう。
これはミスタッチ克服の練習にも役立ちます!
12.写譜する
バッハのインベンション等、初~中程度のポリフォニー曲には効果ありです。
音数が多い曲ではコスパが悪いのでやめましょう。
1.曲を何度も聴く
2.メロディを音程つけてドレミ歌い
3.両手でも、片手ずつでも弾ける状態を維持
4.速い曲はゆっくり弾いてみる
5.曲の構造を最低限理解
6.楽譜を見て頭の中で音を鳴らす練習
7.日頃から暗譜に取組む
8.練習時間を増やす
9.楽典を理解する
10.鍵盤を見ながら弾く
11.薄暗いところで弾く
12.写譜する
全部しっかりやるのは時間がかかりますね…
自分に向いている方法を知ることはできますか?
確実な暗譜のために
暗譜に必要な要素
暗譜は、以下の要素を総動員して覚えると強固になります。
・身体の記憶
・目の記憶
・耳の記憶
・頭(理論)の記憶
多くの方は、得意な2・3つの要素を使い、それ以外の要素が不足していることが多いので、足りない要素を補うことで暗譜強化できます。
暗譜タイプ別、傾向と対策
暗譜のやり方には人によって特徴があります。
あなたはどのタイプ?
タイプ別に、傾向と強化ポイントをお伝えします。
身体の動きと目線で覚えるタイプ
・読譜が苦手
・急に指使いや弾き方を変えるのは難しい
・曲の似てるところでミスが増える
・意図せず手元を見て弾くことが多い
このタイプに不足しがちなのは、理論的理解や耳の記憶です。
・楽譜を眺める習慣をつける
・理論の理解を深めよう
・曲の流れを沢山聞こう
頭(理論)で覚えるタイプ
・楽譜を読むのは得意
・つい楽譜ばかり見て弾く
・指使いや弾き方を急に変えてもあまり支障ない
・近現代曲の暗譜は苦手傾向がある
このタイプに不足しがちなのは、身体の動きや目または耳の記憶です。
・練習時間をなるべく増やそう
・暗譜を習慣にしよう
・鍵盤を見ながら弾く練習をしよう
身体の動きと耳で覚えるタイプ
・耳コピができる
・音数が増えると暗譜が大変になる
・ミスタッチすると次に行けなくなることがある
このタイプに不足しがちなのは、理論理解と目線です。
・読譜力を強化しよう
・頭の中だけでピアノの鍵盤を弾いてみよう
・伴奏だけの練習をしてみよう
その他のタイプの人も、不足している要素を見つけて、その要素を強化することで暗譜力は強化できます。
ここまでできれば、暗譜はほぼ完成に近いと思います!
・身体の動きと目線で覚えるタイプ
→理論理解と耳を強化
・理論理解で覚えるタイプ
→身体と目、または耳を強化
・身体の動きと耳で覚えるタイプ
→理論理解と目線を強化
毎回かなり暗譜練習には力を入れているのに、それでも本番で暗譜がとぶことがあります…どうしたらいいですか?
それはもう、本番が苦手なのかも!
筆者もそうです(´;ω;`)
暗譜が苦手?本番が苦手?
ここまでの練習を全て行って、それでも本番は不安で暗譜がとぶ、という人がいます。
そのような場合は、
暗譜自体が苦手なのか?
本番が苦手なのか?
ここをハッキリさせた方がよいでしょう。
以下のどちらに当てはまりますか?
暗譜が苦手 | 本番が苦手 |
---|---|
・暗譜したくても覚え方が分からない ・今まで暗譜したことがない ・楽譜を見れる本番ならば安心できる | ・練習の段階で、暗譜できない・楽譜を見ていても、本番では常に不安だ ・本番では、普段絶対しないようなミスをする | ・確実に暗譜したはずなのに、本番では暗譜がとぶ
暗譜が苦手 | 本番が苦手 |
---|---|
・練習の段階で、暗譜できない ・暗譜したくても覚え方が分からない ・今まで暗譜したことがない ・楽譜を見れる本番ならば安心できる | ・楽譜を見ていても、本番では常に不安だ ・本番では普段絶対しないようなミスをする ・確実に暗譜したのに、本番では暗譜がとぶ |
本番が苦手かも…という方は、以下記事をご覧ください。
暗譜自体が苦手なのか?
本番が苦手なのか?
見極めて対策しよう!
なぜ暗譜が必要?
暗譜の起源
暗譜は、フランツ・リストとクララ・シューマンによって確立されたと言われています。
リストはどんな曲も初見で演奏でき、即興の達人だったため、演奏に楽譜を必要としなかったそう。
その斬新な演奏スタイルが、当時の人々を惹きつけたようです。
リストに影響を受けたピアニストがクララ・シューマン。夫はロベルト・シューマン。
こちらも名手のピアニストで、夫の曲や自作曲、その他の作品を暗譜で演奏していたそうです。
こうして、暗譜は世に広まっていったようです。
暗譜は必要か否か
実は、一流のピアニストでも、暗譜には大変な労力がかかると思うようです。
リヒテル:20世紀最高のピアニストの1人と言われた。
晩年の演奏会では暗譜をやめている。
ルイサダ:「楽譜を見て正直に演奏したい」と考えているそう。
ランラン:近現代曲は、楽譜を置いて演奏することもあるようです。
その他、アルゲリッチやポゴレリチなども暗譜には懐疑的だとか。
ピアノが他楽器と合奏する時は、演奏会でも楽譜を置くのが一般的です。
暗譜のソロピアノと、楽譜のある合奏ピアノの演奏、音楽的な優劣はあるでしょうか?
筆者も、絶対暗譜である必要はないと思ってます。
オドオドしながら弾くより、堂々と演奏出来たほうが、よい音楽になりそうですよね?
ただし、暗譜に肯定的な部分もあります。
暗譜のためには、沢山の練習時間が必要です。
曲を隅々まで理解して覚える必要もあります。
また、暗譜での舞台上では、演奏者は音楽に没頭する他なくなります。
(他のことを考えると暗譜が怖くなるから)
以上から、暗譜には意味があると思う部分もありますね。
まとめ
- 譜読み段階で行う暗譜練習をする
- 暗譜の練習に入れるか否か見極めよ
- 暗譜練習には12の方法がある
- 身体・目・耳・頭を使って確実に暗譜
- それでも苦手なら本番への対策をしよう
- 暗譜は有益だけど絶対じゃない
【譜読み段階で行うべき暗譜練習】
・いつも同じ指使いで練習
・曲のどこからでも弾けるよう練習
【暗譜のための練習11選】
1.曲を何度も聴く
2.メロディを音程つけてドレミ歌い
3.両手でも、片手ずつでも弾ける状態を維持
4.速い曲はゆっくり弾いてみる
5.曲の構造を最低限理解
6.楽譜を見て頭の中で音を鳴らす練習
7.日頃から暗譜に取組む
8.練習時間を増やす
9.楽典を理解する
10.鍵盤を見ながら弾く
11.薄暗いところで弾く
12.写譜する
【暗譜のタイプ】
・身体、目タイプ
・頭(理論)タイプ
・身体、耳タイプ
・その他タイプ
それぞれ不足を補って暗譜強化!