人前での演奏では、緊張してうまく弾けません。
どうしたらいいでしょうか?
この記事ではこんな疑問、お悩みを解決します。
・本番でうまく弾けない原因と調べ方
・本番へ向けた練習・対策方法
・本番前日、当日の過ごし方
・本番中、本番後の考え方
この記事の執筆者
本番でうまく弾けない原因と調べ方
本番でうまく弾けない原因は主に2種類
本番でうまく弾けない原因は以下
・本番対策不足
・メンタルと特性
このどちらか、または両方が理由の場合があります。
本番対策不足が原因
練習した「つもり」になっているパターン。
練習とは、普段の練習から本番に向けた準備を含めます。
メンタルと特性が原因
入念な対策をしていても、極度のあがり症など、メンタルや特性面が原因の場合があります。
原因の調べ方
ほとんどの場合は対策不足です。
まずは下の「本番へ向けた練習」を徹底して行います。
できる対策を全て行った状態で本番を迎え、それでも本番でうまくできなかった場合、メンタルや特性に主な原因があると考えます。
既に何度も本番を経験し、メンタルに問題があると感じる方は、「メンタルや特性への対策」までスキップしてください。
本番へ向けた練習方法
本番へ向けた練習の流れ3ステップ
本番へ向けた練習の流れは図のとおり。
step1.本番で弾けるくらいまで曲を練習
演奏レベルや年齢で変わりますが、以下を目安に曲を完成させます。
本番で暗譜する人は、暗譜で弾ける状態にしておきます。
初心者や未就学児:本番2週間前くらい
中級以上:本番1ヵ月前くらい
step2.本番を想定した練習の方法
曲が完成したら、以下の状態で演奏します。
そして自身の演奏を振り返ります。
実施タイミング | 寝起き、または全く練習していない日の最初 |
準備物 | ・本番の衣装や靴を着用(可能なら) ・照明を少し暗くする(可能なら) | ・録音、録画する
意識 | ・本番1回きりのつもり |
演奏の仕方 | ・入場、おじぎしてから弾く ・練習せずいきなり1曲通す ・間違えても最後まで弾き切る |
可能なら、スタジオを借りるなど、練習し慣れたピアノ以外でやれると本番に近くなるよ
step3.結果により、次の練習内容を考える
準備はおおよそ整っています。
残りの期間は以下の練習と、step2をくり返して良い状態をキープします。
暗譜、演奏を保つ、メンタル対策の方法は以下記事から
「演奏が崩れないための練習」(記事作成中)
「メンタルや特性への対処方法」(←クリックすると下方へ飛びます)
課題を克服する練習と「本番を想定した練習」を日々繰返しながら、本番に近い状態での演奏に慣れていきます。
しばらく練習を続けても結果が改善しない場合は、結果AやCの練習方法もお試しください。
まず練習の仕方を見直し、しっかり着実に弾くための練習を行います。
以下記事をご参照ください。
その後、step2~3を繰返して、演奏の精度を上げていきましょう。
1.本番1ヶ月~2週間前までに、本番で弾けるくらいまで曲を仕上げる
↓
2.本番を想定した練習を行い、完成度を知る
↓
3. 2の結果により、次の練習内容を考える
↓
2~3をくり返して本番へ頂点をもっていくよう練習を継続
ここまで練習すれば、本番でひどい結果になる可能性は低いです。
それでもやっぱり本番ではうまくできない人がいます。
その場合は以下へ
メンタルや特性への対策方法7つ
メンタル面が心配な方は、以下の対策を試してみましょう。
1.心拍数が上がった状態で弾く練習
本番では大抵、心拍数が上がります。
なので実際に心拍数を上げた状態で演奏し、うまくいかない所を徹底練習します。
具体的な練習方法
・走ったり運動したりして、心拍数120~130程度にする
・その状態で演奏してみて、普段と大きく演奏が変わったら、何度もこの練習を試す
2.アラームが鳴っても演奏を続ける練習
本番では、思わぬ音が入ってくることがあります。(くしゃみ、着信音など)
演奏以外の音が鳴っても、動揺せず集中力を保つ練習をします。
具体的な練習方法
・アラームを適当な分数でセット(スヌーズにはしない)
・演奏開始。アラームが鳴っても演奏を止めず集中
・テレビなどをつけた状態で弾くなどもOK
3.普段と異なる環境、ピアノで練習
自宅と本番のピアノの感覚は異なります。
また、ライトの当たり具合などで感覚や緊張感も変わります。
可能ならスタジオやホールで照明を落として練習してみましょう。
4.成功のイメージトレーニングをする
暗く静かな部屋で行います。
目を瞑り、舞台上で入場、お辞儀、演奏、退場までの一部始終を飛ばすことなく頭の中で再現します。
鍵盤の位置や指が、ハッキリと想像でき、自信をもって演奏できるイメージができるまでこの練習を日々行います。
5.自己肯定感を高める
本番に弱い人は、自己肯定感が低い傾向があります。
自己肯定感を高めるのは難しくとも、演奏において「これ以上ないくらい練習した」という気持ちや、「ミスをしても、音の出し方には自信がある」など自信をもてる所をなるべく作れるよう日頃から意識して練習しましょう。
6.実際に人前で演奏し、自分の失敗パターンを知る
これが一番効果的です。
失敗しなければ自信にし、もし失敗したら対策します。
7.失敗パターンへの対策を行う
失敗パターンへの具体的な対策は以下記事より。
「あなたはどのタイプ?本番の失敗パターンとその対策」(作成中)
メンタルは簡単に変えられるものではありません。
海外では音楽家のメンタルトレーニングも一般的です。
どうやってもうまくいかない場合は、専門家に頼るのも1つです。
イメトレの詳しいやり方、専門家のお話は以下の書籍にあります。
上記の書籍の紹介記事もよろしければどうぞ
1.心拍数があがった状態で弾く練習
2.アラームが鳴っても演奏を続ける練習
3.普段と異なる環境、ピアノで練習
4.成功のイメージトレーニングをする
5.自己肯定感を高める
6.実際に人前で演奏し、失敗パターンを知る
7.失敗パターンへの対策を行う
ここから下は、本番前日・当日の過ごし方オススメを紹介
本番前日の過ごし方
前日の過ごし方は人により異なると思いますが、ここでは推奨する過ごし方をお伝えします。
本番前日の練習について
たくさん練習したいタイプ
前日はとにかく練習したほうが安心な人は、たくさん練習してOK。
ただし、インテンポで何度も通し演奏するような練習は避け、不安な個所を部分練習したり、ゆっくり全体を弾いたりなど丁寧な練習を行いましょう。
のんびり過ごしたいタイプ
前日にあまり練習しすぎない方がよい人は、練習は確認程度に行い、あとは体力温存してのんびり過ごしましょう。
本番前日の食べ物・飲み物
念のため前日は、生ものや消化の悪い食べ物は避けましょう。
お酒やコーヒーは血管収縮の作用があるため、前・当日は避ける方がベターです。
睡眠をたくさん取る
演奏のパフォーマンスは、睡眠時間や睡眠の質とも大きくかかわりがあります。
緊張して寝られない恐れもあるため、前日は早めにベッドに入りリラックスして、明日のよい笑顔の自分を想像しておきます。
・前日の練習は、自分が落ち着く量を練習。インテンポで通しすぎず、丁寧に確認
・生もの、消化の悪いもの、お酒、コーヒーは避けるのがベター
・睡眠をしっかり取ろう
当日の過ごし方と心構え
辛い物を避ける
辛い物は代謝と心拍数を上げやすいです。
そのため当日は演奏終了後まで避けましょう。
練習は確認程度に
本番で一番良い演奏をするために、体力を使い切らないようにしましょう。
演奏時のことを前もって確認
具体的には以下を確認、イメージしておきます。
【椅子の高さ・座ってから】
・納得のいく高さになるまで、慌てず直す
・重心を下に感じるようにどっしり座る
・座ったら、服の裾が突っ張らないことを確認
・座ったら、必ずゆっくり深呼吸
【演奏直前では】
・これまでの練習を信じつつ「開き直る」
・緊張している自分を受入れる
・緊張するのは自分がこの演奏を大事にしている証拠だと考える
舞台裏での過ごし方
自分の一番よい演奏の録音を聞いたり、楽譜を適度に眺めたりしながら、身体が固まらないように軽くストレッチしておきます。
手が冷える人は、ホッカイロは必須。
ストレッチ方法は以下記事もご参照ください。
いざ本番!演奏中に考えること
とにかく音楽に没頭しましょう。
あまり細かいことを気にしないようにしましょう。
呼吸を採り入れましょう。
・当日は辛い物は避けよう
・練習は確認程度で体力温存
・演奏時のことを前もって確認
・舞台裏では軽くストレッチし身体をほぐす
・本番は音楽に没頭し呼吸を意識
本番を終えたら考えること
本番お疲れさまでした。
いかがだったでしょうか。
まずはゆっくり休んで、その後次に向けて自身を振り返ってみましょう。
素晴らしい結果です!
このことを自信にしつつ、曲や状況が変わるとまた本番での出来が変わることはあり得るので、次回に向けて日々がんばっていきましょう!
本番では普段の100%の力を出し切ることはほぼ不可能です。
(稀に普段以上の力を出せる方もいますが…少ないです)
普段の60%以上が出せたら十分と考えましょう。
もし本番の録音があれば、1ヶ月以上過ぎてから再度聞いてみて、それでも気になる課題は今後の課題として前向きにとらえましょう!
普段の30%も出せなかった…と思う場合は、気持ちが落ち着いてから何が原因だったか考えてみましょう。
・準備不足?
・メンタルが弱い?
・実力より難しすぎる曲に挑戦した?
・何か特別なことがあった?
今回良くない結果だったとしても、次回も同じになるわけではありません。
前向きに糧にして、次回の対策を考えましょう!
そこに成長のヒントがあります。
プロでも毎回大成功だったと思える人はほとんどいません。
課題を感じるから成長できると考えましょう。
まとめ
・本番でうまく弾けない原因は、対策不足とメンタルの2種類
・まずは「本番へ向けた練習」をしっかりしよう
・7つの方法でメンタルや特性へも対策しよう
・本番前日は安心できる方法で練習しよう
・前日は生ものを避け、しっかり睡眠をとろう
・本番当日は辛い物は控えよう
・舞台裏では身体をかためないようストレッチ
・本番中は音楽に没頭しよう
・本番の結果を悲観のみせず、次への糧にしよう
おまけ:筆者の体験談と本番成功のヒント
気になる人はここをタップして読んでみてね!
なにを隠そう、筆者は本番が大の苦手。
でもピアノを習った初期から本番が苦手だったわけではないよ。
ピアノを習い始めたのは小5だっけ?
そう。その頃はちょっと天狗になってピアノを弾いていたので、本番はむしろ好きだし得意だったの。
新しい教室で打ちのめされてから、変わったの?
それが意外とそうでもなく。
自分のレベルよりも難しい曲を弾くために、だいたい1年くらいかけて曲を練習してたからか、本番も普段の7.8割の出来だった。
音大に入った後はどうだった?
大1の前期・後期の出来は散々だった。笑
でもそれは実力が露呈しただけという感じかも。
その後、フィンガートレーニングに出会って、自分でも「実力が伸びてるな」と感じ始めた大3の頃は、毎月本番があって、練習が少し足りなくても乗り切れたの。
悩むほど、本番が苦手だと感じるようになったのはいつ頃?
試験やコンクールで結果が出て、周りに「むじかは、次もきっと成績上位だよね」と言われるようになり始めてからだね。
自分よりすごい人が沢山いることが分かって、昔のような自信はない。
だけど、身近な人からは期待されてる。
この狭間のプレッシャーを感じ始めてから変わったなと感じるよ。
「人からどう思われているか」をやたら気にすると、あまり良い結果にならないことが多いよね。
だね。
意識が音楽じゃなく、自分に向きすぎると良いことない。
でも、分かっててもなかなか周りを気にしないってできないよね。
人から見られてるからこそ、力にできる人もいるよね。
そうなれたいいんだけど…
そうなりたいなぁ。
意識の向け方の違いなのだろうけど、根底に「自分への自信」が必要なのかなと思う。
これは学生時代の話なのだけど。
本番でよくミスタッチするし、間違いが多くて違う曲みたくなる時があるのに、絶対に演奏を止めずに弾き切れるA先輩という人がいたの。
それはある意味すごい…
あんまり間違えると、つい弾きなおしたくなるよね?
だよね。
A先輩は「本番に失敗なんかない」ってよく言ってたけど、そのくらい自信がある方が結果オーライかも。
A先輩は、即興演奏が得意だったのだけど、本番への自信に影響あるかも。
確かに、作曲専攻の人たちって「間違えたらアレンジすればいい」って言うことあるよね。
絶対音感の有無は、本番強さに関係してるかな?
同期のBちゃんは、高精度な絶対音感があったけど、心配性で本番もよく心配してたな。あまり関係ないかも?
やっぱり性格も影響ありそうね。
今は、苦手な本番をどう乗り切ってるの?
とにかく本番に向けて可能な限り対策するよ。
あとは開き直る。
ホール演奏をなるべく楽しむ。
あまりにも実力に沿わない曲を選ばない。笑
それでも本番は不安で、ボヤばっかり。笑
でも、かなり余裕のある曲の演奏だと、やっぱり心持が違うよ。
身も蓋もないけど、実力を高めるのも大事だね。
だねぇ^^;
これからも精進しないとね。
いつか余裕ができたら、メンタルトレーニング通いたい。
もしそれでメンタル克服出来たら、そのこともまた記事にしてね。
うん、克服できたらいいなぁ
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