世の中には沢山の教本がありますが、遠方の大型楽器店に行かないとなかなか内容を目にできないと思います。
現役ピアノ講師の筆者が、実際に使っている教本の感想と、使用法を徹底解説します!
教本選びの参考になれば幸いです。
この記事の内容
・ジュニア1の特徴
・ピアノ講師の実際の使用法
・購入者の口コミ
・ジュニア1が向いている人
・レベルや何歳が適切?などFAQ
この記事の執筆者
『ピアノひけるよ!ジュニア1』の特徴と内容
全体の特徴
・全12曲(解説曲除く)
・「知ってる曲で弾ける」がコンセプト
・童謡のピアノアレンジがほとんど
・バイエル前半レベル
・2曲目までは片手ずつ演奏
・3曲目から両手交互奏あり
学習内容
楽典やテクニックは教本説明に加え、筆者が選別して記載しています。
楽典
・音域はへ~1点ト
・指番号
・白鍵と黒鍵
・鍵盤の高低
・ト音記号
・ヘ音記号
・4分音符
・2分音符
・付点2分音符
・全音符
・くりかえしきごう
・3拍子
・小節名
・タイ
・アウフタクト
テクニック
・片手奏
・両手交互奏
・両手の同時奏
・1~5指の同ポジション演奏
各楽曲の特徴と解説
収録されている曲の特徴、要されるテクニック等について解説します。
色付きは、特筆すべき学習内容です。
色付きは、学習内容の多い曲です。
※詳細は、曲名をタップしてください。
ゆびの ばんごうを おぼえよう p.4
指番号について書かれています。
本書では全てひらがなです。
けんばんを みてみよう p.5
白鍵と黒鍵のちがい、黒鍵の並び方について書かれています。
本書では全てひらがなです。
くろい けんばんを ひこう p.6-7
・2つの並んだ黒鍵を2、3指で交互に弾く練習
・3つの並んだ黒鍵を2、3、4指で弾く練習
上記の簡易楽譜がのっています。
たかい おとと ひくい おと p.8
鍵盤の高低について記載されています。
チューリップ p.10-11
p.6-7の簡易楽譜をつかって、チューリップを弾けるようになっています。
先生の伴奏つきで連弾が可能です。
ドとレをひこう p.12-13
・ト音記号
・ドとレの音と鍵盤位置
・1と2の指
・4分音符
・2分音符
・右手の演奏
ここから簡易ではなく大譜表となります。
まだ拍子についての言及はありません。
ドとシをひこう p.14-15
・ヘ音記号
・ドとシの音と鍵盤位置
・左手の演奏
りょうてで ひこう p.16-17
・p.12-15がひと続きになって構成
・右手→左手の順で演奏
・連弾つき
1.いちばんぼし:わらべうた
・ロ~一点ニのみで構成
・右手→左手で弾く構成
・連弾つき
・はじめて曲名ありの楽曲に
・歌詞あり
3の指をひこう p.20-21
・3の指
・ト音記号の一点ホ
・ヘ音記号のイ
2.つきの ひかりに:フランス民謡
・全音符
・1オクターブという楽語
・右手→左手の順で演奏
・連弾あり
・イ~一点ホ
3.げんこつやまの たぬきさん:わらべうた
・両手にわたるメロディ
・両手交互奏
・今までより長い曲
・連弾あり
・イ~一点ホ
4の指をひこう p.26-27
・ト音記号の一点へ
・ヘ音記号のト
・4の指
4.アルプス いちまんじゃく:アメリカ民謡
・両手交互奏
・連弾あり
・ト~一点へ
5.きらきらぼし:フランス民謡
・両手交互奏
・連弾あり
・ト~一点へ
6.ゆかいなまきば:アメリカ民謡
・付点2分音符
・くり返し記号
・両手交互奏
・連弾あり
・ト~一点へ
7.ビックベンのかね:外国曲
・3/4拍子
・拍子に言及
・1小節という呼び方
・両手交互奏
・両手同時奏
・連弾あり
・ト~一点へ
8.バケツのあな:アメリカ民謡
・3/4拍子
・両手交互奏
・連弾あり
5のゆびを ひこう p.38-39
・ト音記号の一点ト
・ヘ音記号のへ
・5の指
9.ふしぎな ポケット:渡辺 茂
・4/4拍子
・両手交互奏
・連弾あり
・ト~一点ト
10.こぎつね:ドイツ民謡
・4/4拍子
・両手交互奏
・連弾あり
・ト~一点ト
11.とんぼの めがね:平井 康三郎
・4/4拍子
・タイ
・両手交互奏
・連弾あり
・ト~一点ト
12.あかい かわの たにま:アメリカ民謡
・4/4拍子
・アウフタクト
・タイ
・両手交互奏
・ト~一点ト
長所と短所、使用法について解説
この教本の長所と短所、それをふまえた、筆者なりの使用法について解説します。
長所と短所まとめ
メリット | デメリット |
---|---|
〇多くの方が知っている童謡で構成 〇先生との連弾で楽しさUP 〇ごく易しい両手同時奏があり満足度UP | △カタカナ表記がある △ヘ音の実践曲がない | △進みが早い
長所1:知ってる曲+連弾で楽しい!
このシリーズの長所「知ってる曲」で構成されており、全楽曲連弾つき。
先生の伴奏の和声も素敵で、アンサンブルの喜びも得られます。
長所2:初期段階から両手を動かし満足度UP!
最初は右手→左手の順で演奏する構成。
「げんこつ」から両手交互奏になる。
(右⇔左でメロディを弾く)
「ビックベン」で両手で同時に和音を弾く部分があり、お子さんの満足度が上がりやすいポイント。
早い段階で左手も使うのは、練習や発達の観点からもGOOD
短所1:進みが早い
初っ端から右手のドレ、左手のドシが出てきます。
3曲ほど弾いてすぐに右手ミと左手ラ…という具合に進みます。
弾くことは可能ですが、音符を覚えるには進みが早いと感じます。
読譜練習は教本外で追加で行った方が良いと思います。
短所2:カタカナ表記がある
ドレミや楽語が基本カタカナで書かれています。
未就学児でカタカナがスラスラ読める子は多くはありません。
対象年齢が不明ですが、表記・説明と進みを見ると未就学児には少し難しいと感じます。
進度を見ても、個人的には6歳~くらいのお子さん向けと感じます。
短所3:ヘ音の実践曲がない
p.38-39でヘ音記号のへを紹介したあと、その後の楽曲には1つもへ音が出てきません。
「知ってる曲」を載せることを優先した結果起こったことと思います。
この教本で学習した生徒さんの半数以上は、この教本中にはへとトを覚えきれないと感じます。講師で補足学習が必要です。
ネット上の口コミと筆者の見解
良い口コミ
知ってる曲なので歌いながら自然にピアノが弾けるようになります
このシリーズの長所の1つですね。
歌が好きなお子さんなら特に楽しめそうです!
4歳の娘がピアノに興味を示さず困っていましたが、この教本にしてから喜んで練習するようになりました!
「ピアノにまだ興味が薄い」お子さんには効果絶大です。まずは興味を持ってもらうのも1つかと思います。
悪い口コミ
小1娘が右手だけで弾ける歌が増えたので両手を使う楽譜を探していました。メロディーを両手に分けて弾く楽譜で残念でした…
最近の導入教本は、はじめは右手と左手の交互奏の構成が多いです。やはり中身を見ないと購入は難しいですね。
保育士です。指ならしからと思って購入しましたが、1日で終わりました。それでこの金額は勿体ないかも
鍵盤位置を把握している大人の方には易しすぎるかもしれません。
やはり6歳~くらいのピアノ開始さんに向いていると思います。
ジュニア1が向いている人、向いていない人
以上の教本の特徴から、筆者の結論を述べます。
ジュニア1が向いてる人
・有名曲や連弾でモチベーションが上がる人
・6歳以上~ピアノを始めるお子さん
・まだピアノへの興味が薄いお子さん
ジュニア1が向かない人
・音符をしっかり定着させたい人
・両手同時奏の教本を探している人
・鍵盤位置を把握している大人初心者
総合的に見て筆者は、この教本はまだピアノへの興味が薄めの、初めてピアノを習う6歳以上~くらいのお子さんに使いやすいと感じています。
レベルや何歳が適切?など教本FAQ
親御さんたちのよくある疑問などに回答します。
ジュニア1は、何歳が適切ですか?
個人差ありですが、全く初めてのお子さんがやる場合は6歳以上がよさそうです。他の教本を終えた6歳以下のお子さんなら無理はないと思います。
ジュニア1は、バイエルだとどのくらいですか?
おおよそバイエル3~15番くらいです。(筆者調べ)
ただし双方の特徴が異なりますので比較は難しいです。
どのくらいの期間で終わらせるのが普通ですか?
前提条件により変わりますが、全くピアノが初めての未就学児なら3か月~半年くらいが多いかと思います。
ジュニア1レビューまとめ
- 知ってる曲と素敵な連弾でやる気UP
- 6歳以上のピアノ開始さん向け
- ピアノに興味薄めの幼児さんにも喜ばれる
- バイエル15番までと近いが特徴が異なる
- 音とリズムは補足学習が必要
- 読譜力を重視した指導には向かない
- 大人初心者には物足りないかも
- 知ってる曲と素敵な連弾でやる気UP
- 6歳以上のピアノ開始さん向け
- ピアノに興味薄めの幼児さんにも喜ばれる
- バイエル15番までと近いが特徴が異なる
- 音とリズムは補足学習が必要
- 読譜力を重視した指導には向かない
- 大人初心者には物足りないかも