オクターブ奏法が苦手です。
コツはありますか?
この記事ではこんな疑問、お悩みを解決します。
- ピアノのオクターブとは?
- オクターブが苦手な本当の理由
- 色々なオクターブ奏法と演奏のコツ
この記事の執筆者
ピアノのオクターブとは?
ピアノの「オクターブ」とは、下のようなドからドまでの音幅のこと。
ピアノのオクターブの標準寸法は165mm。
参考→Wikipedia
ピアノのオクターブ奏法とは、この幅を弾くこと。
オクターブが苦手な本当の理由
不要な筋肉まで使いすぎてしまうから
オクターブが苦手なのは、手が小さいからですか?
大きさはあまり関係ありません。
オクターブが苦手な主な原因は、他の不要な筋肉も使いすぎてしまいやすい奏法だからです。
オクターブの和音をつかむ時、最低限必要な力は
・指先の支え
・手を開く力
のみで十分です。
ですが多くの方は、手首、前腕など、不要な部分に多量の力まで入れて、オクターブを掴もうとしてしまいます。
オクターブ奏法が苦手な人が多いのは
他の不要な筋肉も使いすぎてしまいやすい奏法
という理由に加え、以下の要因も関係しています。
- 手首、腕の動きが遅い
- 指、手首の柔軟性が足りない
- 指が弱く、打鍵の衝撃を指で支えられない
オクターブ奏法も結局、脱力の有無に関連してます。
以下もご参照ください。
以下のような統計もあるようです。
手の痛みや故障で、医療機関を受診する人の約70%は、オクターブ等、手を拡げる練習が原因
御木本澄子 著「正しいピアノ奏法」整形外科医が見たピアニストの手 より
実際に筆者も、色々な生徒さんを見てきて、手の大きさに関係なく、オクターブが苦手な人が多いと感じています。
そのくらい、苦手な人が多い奏法ですが、逆に、無理なくできるようになるとかなりピアノ演奏が楽になります。
・不要な筋肉まで使ってしまいやすい奏法だから
・不要な筋肉まで使ってしまいやすい奏法だから
・指や手首の柔軟性が足りないから
・手首、腕の動きが遅いから
・指が弱く指のみで打鍵を支えられないから
これを根本的に解決するには、やはりフィンガートレーニングがおすすめですが…
すぐできる簡単な練習も1つご紹介しましょう。
指と手首の動きを分離する練習
オクターブを弾く時、手首まで力む人が多いと感じます。
この練習は、とくに手首まで力んでしまう人へおススメです。
①長さ14㎝の棒を1と5指で支える(太さは直径1㎝程度)
②1と5指のみで、棒を持ち上げる
✖手首まで持ち上がってしまっている例
棒をもったまま、手首をブラブラ振ってみましょう。
棒が離れてしまうなら手首と指が連動してます。
では次に、曲に出てくる具体的なテクニック別に解説します。
色々なオクターブ奏法と演奏のコツ
オクターブの連続と連打
オクターブの連続
レガートにする必要はないけど、オクターブが連続するパターン。
この奏法のコツは「腕を上下運動しない」
言葉で動作を説明すると以下の手順となります。
- 鍵盤に指を置いたところから、指をはじく
- 反動で手首、腕が勝手に浮く(のが理想)
- 浮いた遠心力で次の鍵盤に腕を移動
- 脱力していると次の鍵盤の上に指がおりる
- 1.から繰り返し
譜例1の実際の動作
指先や手首に力が入り、ひじから上下して弾いている以下のようなNG例がけっこう多いです。
これだと腕が疲れ、音も硬くなります。
筆者の感覚を言葉にするなら
「指をはじいたら手首と腕は勝手にはね返る」
とでも言いましょうか…腕はすごく楽になりますよ。
オクターブの連打
オクターブの連続と、根幹の動作は一緒です。
同じ鍵盤を弾く分、手首の脱力をより速くする必要があります。
この奏法のコツは「手首の脱力とバウンド感」
日常生活の動作で例えると、友人の肩を軽くハタくような動作です。
力が強すぎると痛がられますし、叩いた直後に脱力できないと、手が肩の上にのったままになりますね。
熱いものに触れる時のような動き、で分かる人もいるかもです。
譜例2の実際の動作
手首の脱力ができていると、手首が自然にパタパタします。
譜例2(軍隊ポロ)をワンフレーズ弾いてみました。
オクターブのレガート
オクターブをレガートで弾くパターンです。
「レガートは、自然な音の強弱をつくるべし」
これがこの奏法のコツです。
多くの人が勘違いしていますが、美しいレガートで一番大事なことは、「音の強弱を自然に並べる」こと。
◎音の強弱を自然に並べる
△指で音と音をつなぐ
この曲ではラシドミに向かって音が大きくなるのが自然なので(譜例3)
例えばシの音がドの音よりも強くなったりすると、指でつなぐ、つながないに関係なく、レガートに聞こえなくなってしまいます。
わざと、音の強弱を凸凹に弾いてみました。
では次に、自然な音の強弱で弾いてみます。
動画⑦、⑧とも指使い、ペダルは同じ条件で演奏しています。
伴奏をつけると、より自然に聞こえます。
動画だと分かりにくいですが、
「レガートにしなきゃ!」と思いすぎて
指や手首を無理やり横にひっぱり、
全て固く同じ音色で弾くとこんな感じ。
これもありがち失敗パターンです。
以下のような時、楽譜の指使いは気にせず、自身が一番美しく弾ける指使いを考えましょう。
分散オクターブ
力を入れて、手を拡げたまま弾くと腕が疲れます。
「手首の回転」が、
分散オクターブを演奏するときのポイントです。
この動作はトンカチを打つ動作をイメージすると分かりやすいかもしれません。
1と5指に同量の力は使いません。
出したい音の方に重みをかけて、反対側はその反動で触れるだけでOKです。
釘を打つ動作=1指の動作
肘の軸=手首の軸
トンカチを持ち上げて勢いで反対側に倒れる時の動作=5指の動作
トンカチを持上げた時は腕に当たらないように力のブレーキをかけますが、分散オクターブではその反動に逆らわずに5指で鍵盤に触れます。
1指側から、インテンポとゆっくりバージョンの動画添付します。
5指側からも映しました。
複数音を含むオクターブ
こちらについては、
「和音の弾き方」の記事で説明したいと思います。
・オクターブの連続→腕を上下運動しない
・オクターブの連打→手首を脱力する
・〃のレガート→自然な音の強弱をつくる
・分散オクターブ→手首の回転
まとめ
- オクターブが苦手なのは、不要な筋肉まで使ってしまいやすい奏法のせい
- 色々なオクターブ奏法に適した身体の使い方を知る&練習しよう
- 奏法を知って練習しても改善できない時は、根本を見なおそう
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この記事の参考図書