世の中には沢山の教本がありますが、遠方の大型楽器店に行かないとなかなか内容を目にできないと思います。
現役ピアノ講師の筆者が、実際に使っている教本の感想と、使用法を徹底解説します!
教本選びの参考になれば幸いです。
この記事の内容
・ジュニア2の特徴
・ピアノ講師の実際の使用法
・購入者の口コミ
・ジュニア2が向いている人
・レベルや何歳が適切?などFAQ
この記事の執筆者
『ピアノひけるよ!ジュニア2』の特徴と内容
全体の特徴
・全20曲(解説曲除く)
・「知ってる曲で弾ける」がコンセプト
・童謡のピアノアレンジがほとんど
・バイエル前半レベル
・最初の8曲は左右の手の交互奏
・後半で両手同時奏
学習内容
楽典やテクニックは教本説明に加え、筆者が選別して記載しています。
楽典
・音域はハ~1点ト
・8分音符
・付点4分音符
・2/4拍子
・全休符
・2分休符
・4分休符
・レガートとスラー
・曲の途中の繰返し記号
テクニック
・左右の手の交互奏
・両手ユニゾン奏
・両手の同時奏
・レガート
各楽曲の特徴と解説
収録されている曲の特徴、要されるテクニック等について解説します。
色付きは、特筆すべき学習内容です。
色付きは、学習内容の多い曲です。
※詳細は、曲名をタップしてください。
1.10人のインディアン:アメリカ民謡
・4/4拍子
・両手交互奏
・8分音符
・連弾あり
・ここから8曲目まで音域はへ~1点ト音
2.いっしゅうかん:ロシア民謡
・2/4拍子
・8分音符
・両手交互奏
・連弾あり
・タイ
・アウフタクト
3.ロンドンばし:イギリス民謡
・4/4拍子
・付点4分音符
・表記が異なる同じリズム
・両手交互奏
・連弾あり
4.かたつむり:文部省唱歌
・4/4拍子
・付点4分音符
・両手交互奏
・連弾あり
5.おしょうがつ:滝 廉太郎
・4/4拍子
・全休符
・2分休符
・8分音符
・両手交互奏
・連弾あり
6.まめまき:絵本唱歌
・2/4拍子
・4分休符
・8分音符
・両手交互奏
・連弾あり
7.こいのぼり:無名著作物
・3/4拍子
・8分音符
・両手交互奏
・連弾あり
8.たなばたさま:下総皖一
・4/4拍子
・8分音符
・両手交互奏
・連弾あり
ひくいドレミファソ
ハ~ト音までの説明と練習曲
左手のみ演奏
これまでと左手のポジションが変わる
楽譜にカタカナでドレミがふっている
9.曲名なしの練習曲
4/4拍子
1つ前の曲を両手ユニゾンで演奏する練習曲
以降の曲で、同音域の両手同時奏となる
10.かっこう(1):ドイツ民謡
・3/4拍子
・左手のみ
・連弾なし
・ここから音域はハ~1点ト音
11.かっこう(2):ドイツ民謡
かっこう(1)を両手でユニゾンで演奏する曲
連弾あり
12.ぶんぶんぶん:ボヘミア民謡
・4/4拍子
・両手ユニゾン奏
・連弾あり
13.ちょうちょう(1):スペイン民謡
・4/4拍子
・スラーとレガートの説明
・スラー表記
・両手ユニゾン奏
14.あわてんぼうのうた
・4/4拍子
・スラー
・メロディ+伴奏の両手同時奏
・左はほぼソ、最後のみド
15.さよなら:外国曲
・3/4拍子
・メロディ+伴奏の両手同時奏
・8分音符
・スラー
・左はほぼソ、最後のみド
16.こいぬのマーチ:外国曲
・4/4拍子
・メロディ+伴奏の両手同時奏
・スラー
・左はドとソのみ
17.ちょうちょう(2):スペイン民謡
・4/4拍子
・メロディ+伴奏の両手同時奏
・スラー
・左はドとソのみ
18.よろこびのうた:ベートーヴェン
・4/4拍子
・メロディ+伴奏の両手同時奏
・左右にわたるメロディ
・付点4分音符
・曲の途中のリピート記号
・スラー
・左手はドとソのみ
19.ジングルベル:ピアポント
・4/4拍子
・メロディ+伴奏の両手同時奏
・左手はド、ファ、ソ
・左の動きが多くなる
・スラー
・付点4分音符
20.せいじゃのこうしん:アメリカ民謡
・4/4拍子
・アウフタクト
・メロディ+伴奏の両手同時奏
・スラー
・タイ
・左右のリズム複雑化
・左はド、ファ、ソ
長所と短所、使用法について解説
この教本の長所と短所、それをふまえた、筆者なりの使用法について解説します。
長所と短所まとめ
メリット | デメリット |
---|---|
〇多くの方が知っている童謡で構成 〇1巻の音域復習をリズム応用でできる 〇両手同時奏で弾きごたえがUP 〇3/4拍子も多めに学習できる | △ニ、ホ音を覚えられる曲が少ない △後半の難易度の上がり方が早い | △リズムがけっこう難しい
長所1:知ってる曲+連弾で楽しい!
このシリーズの長所「知ってる曲」で構成されており、多くが連弾つき。
先生の伴奏の和声も素敵で、アンサンブルの喜びも得られます。
長所2:ジュニア1の音域復習に最適
8曲目まではジュニア1で習った音域で、リズムだけ少し発展して登場します。
1巻で音が覚えきれなかった人も、難易度をわずかに上げて復習に取り組めます。
1巻+2巻前半までやると、ほとんどの子はへ~一点トまで覚えきれると思います。
長所3:両手奏で弾きごたえアップ!
後半でメロディ+伴奏の両手同時奏となります。
最後の曲は、初の発表会で弾いてもよいくらいの難易度となります。
両手同時奏になると「ピアノ曲弾いてる!」という喜びがもてる生徒さんが多いようです。
短所1:リズムがけっこう難しい
8分音符、付点4分音符の登場でリズムが複雑化します。
未就学のお子さまはリズムで苦戦するかも。
リズム練習は、教本外で追加でも行った方が良いと思います。
短所2:ニ、ホ音を覚えられる曲が少ない
後半でハ~ト音を勉強しますが、ユニゾン奏以外の曲ではニ、ホ音が登場しません。
教本だけでは覚えられないので、補足学習が必要。
後半の音域は、教本外で補足がおすすめ。
短所3:後半の難易度の上がり方が早い
両手同時奏になってから、これまで習ったことやスラー、レガートなどが一気に登場します。
右手レガートで左手は同音打鍵(レガートできない)が初心者の方には難しいと感じます。
筆者は生徒さんに合わせ、この教本でのスラーやレガートを教えるか否か判断しています。
講師の方で適切に選択すればさほど問題にはならないと思います。
ネット上の口コミと筆者の見解
良い口コミ
知ってる曲ばかりなので、本人が自分で間違いに気づいて練習できるのが良いです。
このシリーズの長所の1つですね。
1人でも練習できる、というのは大きなメリットですね。
大人初心者です。最終ページ以外の曲は1日で終われました。
指慣らしにはよいです。
最後の曲は時間がかかりましたが、弾けた時は、曲を弾いてる感がして嬉しかったです。
大人の方や少し弾ける方には、気軽に取り組めて「指鳴らし」や「レパートリーを増やす」目的にも使えそうですね。
悪い口コミ
有名な歌が多いだけに指の動きも多く、ある程度練習しないとひけない。
知ってる曲であることを優先し作られた教本なので、このように感じる方もいるようです。
簡単なので子どもが勝手に弾いています。
ただ音を鳴らすには良いですが、教本として上達に使えるかは疑問。
ジュニア2に限らず、教本は目的と使用法に沿って選ぶのが大事です。
ジュニア2が向いている人、向いていない人
以上の教本の特徴から、筆者の結論を述べます。
ジュニア2が向いてる人
・有名曲や連弾でモチベーションが上がる人
・ジュニア1の音域を復習したい人
・ジュニア1より発展したリズムを学びたい人
・両手同時奏の導入を学びたい人
ジュニア2が向かない人
・拍やリズムが苦手な人
・ヘ音記号を覚えたい人
・両手同時奏がまだ困難な人
レベルや何歳が適切?など教本FAQ
親御さんたちのよくある疑問などに回答します。
ジュニア2は、何歳が適切ですか?
個人差ありですが、4~8歳くらいだと無理なく使えると思います。
ピアノが全く初めての大人の方にも使えます。
ジュニア2は、バイエルだとどのくらいですか?
おおよそバイエル3~15番くらいです。(筆者調べ)
ただし双方の特徴が異なりますので比較は難しいです。
どのくらいの期間で終わらせるのが普通ですか?
練習頻度や、どのくらいの完成度を求めるかで変わるので一概に言えませんが、半年~1年くらいが多いかと思います。
ジュニア2レビューまとめ
- 知ってる曲と素敵な連弾でやる気UP
- ジュニア1の音域復習とリズム発展に最適
- 両手同時奏の導入に使用できる
- バイエル15番までと近いが特徴が異なる
- ヘ音記号を覚えたい人には向かない
- 拍やリズムが苦手な人には向かない
- 知ってる曲と素敵な連弾でやる気UP
- ジュニア1の音域復習とリズム発展に最適
- 両手同時奏の導入に使用できる
- バイエル15番までと近いが特徴が異なる
- ヘ音記号を覚えたい人には向かない
- 拍やリズムが苦手な人には向かない