この記事ではこんな疑問、お悩みを解決します。
・ピアノの読譜力とは?
・読譜力向上ロードマップ
この記事の執筆者
ピアノの読譜力とは?
楽譜を読む力です。
楽譜を読むには、以下の能力が必要です。
・音の高さを読む力
・音の長さを読む力
・音の高さと長さを同時に判断する力
・音符と音感の一致
・音符と鍵盤の一致
・鍵盤把握力
・楽譜の構造理解
・指使いの理解と実践
・楽典の理解
これらは、空間認知、目線の動き、処理能力、知識が影響します。
とくに譜読みのスピードを左右する項目に__をつけました。
譜読力向上へのステップ
自身の読譜力を知るには?
自身の読譜力が分からない方は、以下記事で、ピアノの読譜レベルを診断しましょう。
読譜向上のステップ
譜読みは奥深く、様々な能力を同時に使います。
この記事では、要素分解して7つのステップに分けました。
多くの方は、step3.4からいっぺんにやることが多いですが、なかなか譜読力がつかない場合、step1.2も見直してみるとよいです。
1:鍵盤・指を覚える
★ドレミの並びを覚える
ドレミの並びを知らない方は、まずドレミの並びを覚えましょう。
ドレミファソラシド
ドシラソファミレド
ファソラシドレミファ 等
どこからでも迷いなく並びを言えるようにする。
以下は単語帳で簡易的に作ったグッズです。
この教材からのアイディアです。
★鍵盤把握力をつける
言葉の並びと同時に鍵盤のドレミの位置も覚えます。
初級
カードに「ど」「れ」など音を文字で書いて、出たカードの鍵盤をひく遊びをする。
文字が読めない場合は先生や保護者の言った音を鍵盤でひく。
中級
初級と同じ遊び方を、複数の音を連続させておこなう。
「ドミソ」と言われる→なるべく速く「ドミソ」の鍵盤をひく
この段階では、あくまで鍵盤の位置を覚えるのが目的
★指番号を覚える
番号を見てすぐ指を動かせるようになるには、少々の練習が必要です。
幼児
数字を書いた指人形をつかいます。
言われた数字の指をおじぎするように動かすと、指を動かす訓練になります。
小学生以上
数字の書いたブロックを用意します。
ブロックをランダムに並べ、その数字のとおりに指を動かして打鍵します。
両手同時にやると難易度UP。
2:音の長さの認識と目線を育てる
★目線の流れを育てる
楽譜の流れ同様、左から右横に一定の速さで目線を動かす訓練をします。
この練習で目線の動きと、拍子感覚を同時に習得!
①数字をかいた紙を用意(拍子の数分)
②譜面台に置いて、指さしながら数字を読む
③慣れたら楽譜のように複数段にしてやってもよい
★音符の長さを覚える
幼少期は固定で覚えます。
小3以上では拍子の概念から音の長さを覚えられるようになるとGOOD。
幼児・初心者
4分音符=1拍と固定で、音符・休符の長さを覚える。
フラッシュカードで遊びながら覚えると〇。
小3以上(超初心者除く)
拍子の概念を知り、4/4や6/8拍子が理解できるようにする。
★リズム譜を読む、たたく
目線が育ち、音符の長さが分かったら実際にリズム譜を打てるようにします。
幼児
リズム譜を言葉で言う&読む練習
①ことばのリズムと、音符の見た目を覚える
②ことばを言いながら合わせてリズムを打つ
小学生以上
リズム譜を、拍を数字で数えながら手をたたいたり、ピアノで弾いたりする
3:五線の仕組みと音の高さを覚える
★五線の仕組みを知る
幼児の場合は「間」の認識が難しいよう。
線と間の違い、数え方などを一定期間行うとよいです。
①5線の線と間を覚える
②しばらくは線と間を見たり、数えたりする
③大きな5線をつくり、ブロックなどを置くのもよい
★音符の高さを覚える
音符の高さを数える人がいますが、数える癖がつくと譜読み速度が上がりにくいです。
できれば数えず「記号として覚える」ようにできるとGOOD。
フラッシュカードで音の高さ「ドレミ」を声に出して読む。
幼児は3~5こくらい、大人も10こ以内くらいから始める。
★重要★音符は記号として認識できるように
音を指番号で覚えるのもできるだけ避けましょう。
音符フラッシュカードの例
音をすぐに覚えられる良い方法はありますか?
以下記事をご覧ください。
音の高さをすぐ覚える方法!仕組みを理解しよう。(作成中)
こんなサイトもあります。
ただし、ある程度音を読めるようになった人向け
譜読みの女神(無料webゲーム)
★音符と鍵盤を結びつける
フラッシュカードで出た音の鍵盤をすぐ弾く遊びをする。
音符の高さを覚えるのと同時に行ってもよいが、時間がかかりすぎる場合は別で行う。
別々に練習すると、音符が読めていないのか、鍵盤の位置が迷うのか、苦手が明確になります。
★音符と音感を結びつける
フラッシュカードで出た音符の鍵盤を弾き、その音を聞く練習をする。
すぐできる人は、音符、鍵盤、音感すべて同時に行ってもよい。
ここまでできると、カードを使って色々な遊びができるようになります。遊びながらたくさん音符を覚えよう!
4:長さ、高さの同時認知と空間認知
★音符の長さ、高さの同時認知
音符の長さと高さが分かったら、なるべく速く同時認知する練習をします。
これは初見練習の第一歩にもなります。
音符を指さしながら、拍にのってドレミを読む
上記の楽譜なら「ドソドミードラ…」のように
・長さ認知がすぐできない場合、譜例のように〇を記入
・横で保護者が拍をたたいてもOK
・2.3回でできるくらいの曲が丁度良い
幼児は【音符には高さと長さ2つの意味が併存する】という概念を理解できない場合があります。
「これは2つのびるレだね」のように、具体的に示すとよいです。
★楽譜とけんばんの高低位置
鍵盤の音の高低位置は下図です。
対して、楽譜の音の高低は下図です。
楽譜は左から右、そして段が変わり…という風に読んでいきます。
ここで空間的な混乱を起こす場合があります。
幼児やピアノが全く初めての人は、この概念理解と、認知からはじめると効果的です。
★音の高低を感じる
幼児は音の高低を身体で感じる遊びをします。
大人は、楽譜の動きと音程をリンクさせるよう歌う習慣をつけます。
幼児向け
音に身体の動きをつける遊び(ハンドサイン)を採り入れる。
その後鍵盤で弾いて、うたうなど。
大人初心者
簡単な楽譜を見ながら、音程をつけて歌う訓練をする。
はじめはピアノと一緒に歌ってもよい。
★音程や和音の認知
音符がたくさん並ぶとすぐに認知できない人は、音の動きを見た目の印象で覚えたり、認知する訓練をします。
幼児
音符の動きに名前をつけて、形を見つける遊びをする。
その際ピアノで音を聞いたり歌ったりする。
幼児は音の並びの違いが分かればOK。
小学生以上
度数を覚える。
楽譜の中から、3度だけを見つける練習などを行う。
★相対的に楽譜を見る
ある程度の範囲の音が、絶対的記号として読めるようになったら、相対的に楽譜をみる訓練をします。
幼児
1曲の中で、同じ音だけ探すゲームをする。
ミの音は、なんこ?など。
がくふの「まちがい探し」なども人気
小学生以上
前後から、音を予測して読む方法を覚える。
とくに和音の連続などで有効。
★音型・リズムパターンで楽譜を読む
譜読みが早い人は、音形・リズムをパターンとして見ています。
ハノンなどで音型やリズムパターンを繰り返すのも、よい練習になります。
5:理論で読む
★楽典の基礎知識をつける
「読譜力をつける」という観点から考えると最低限、以下は知っておきたいところ。
・音の高さ、長さ
・拍子の数え方
・スタッカート、フェルマータなどの記号
・繰返し記号の理解
・速度記号(Allegroなど)いくつか
・強弱記号(crescendoなど)いくつか
・調号3つまでの調
筆者は年齢問わず、生徒さんに必ず楽典ワークを使っています。
学研の「おんがくドリル3」がコスパ良し。
1.2巻は音域がバイエル併用なので、3巻から5巻まで網羅できれば趣味としては十分。
関連記事「ワーク3のレビューと内容」(作成中)
こんなのもあります。
★規則を見つける
ほとんどの楽曲は規則的に作られています。
例えば「ぶんぶんぶん」は、ABAの形になっています。
こうした規則を、すぐに見つけられるように練習しましょう。
幼児から大人まで有効な方法です。
★要素を見つける
規則が分かるようになったら、要素分解できるよう知識をつけましょう。小学生以上推奨。
主な要素
右手:メロディ
左手:和音伴奏(〇と△のみ)
A部分オレンジ括弧→B部分にも用いられる
B部分はAの要素を応用・反復させてできている
★調の判定
小2以上推奨。まずは調を覚えましょう。
調号3つくらいまでの調は分かるようにしておけるとベター。
簡単に調を覚える方法もあるのでご興味があれば以下より。
全長調をしりとりでおぼえよう!教材(作成中)
簡単に短調を覚えよう!教材(作成中)
調は知れば知るほどパズルみたいで面白いですよ!
調を覚えたら、曲の主要の調が判定できるように。
ロマン派以前の多くの曲は調号+曲の最後の最低音(和音)で判定できます。
★和音の理解
小学生以上推奨。
以下のように、和音をパターンで覚えます。
はじめはハ長調しか出ない場合が多いので、調には触れずとも覚えることが可能です。
調を勉強した後、調によって和音の構成音が変わることを勉強しましょう。
カデンツ覚え方 教材(作成中)
それぞれの和音の響きを聴いてもらうのもいいですね。
6:初見力の向上
初見力(楽譜を見てすぐ演奏できる能力)が高い人は、譜読みもはやいです。
初見力を鍛えることが、読譜スピードアップにつながります。
初見力向上に必要な条件
初見力を高めるには、以下の2つの条件が必要です。
1.楽譜を見て、どんな曲かおおよそ判断できる
2.判断した曲の流れに沿い、指や身体が動く
1.が苦手な方は、この記事のステップ1~5までの力を伸ばしましょう!
2.が苦手な方はここから下もご覧ください。
★指使いの決定と判断
まず基本の指使いがすぐ分かるようにしておくのが大事。
基本の指使い習得のためにやるべき練習
・色々な音型パターンへの経験と練習
・音階とカデンツの練習
・半音階の練習
・アルペジオの練習
これらの練習にはハノンがおすすめ。
指使いについての詳細は以下記事より
指使いの話(作成中)
ハノンの使い方は以下より
ハノンの使い方(作成中)
★初見力向上のための練習方法
具体的な練習方法は以下記事より。
初見力向上の具体的な練習方法(作成中)
7:書かれていないことも読み取る
楽譜に書かれていないことも読み取れるようになれば、譜読みのスピードアップはもちろん、自分で演奏を作っていくことができるようになります。
★強弱の知識と理解
全年齢対象。
楽譜に指示がない場合の、基本的な強弱の考え方を知りましょう。
★フレーズの知識と理解
全年齢対象。
楽譜に指示がない場合の、基本的なフレーズの考え方を知りましょう。
★アーティキュレーションの知識と理解
全年齢対象。
楽譜に指示がない場合の、基本的なアーティキュレーションの考え方を知りましょう。
これには時代背景等も知る必要が出てきます。
★ペダルの知識と理解
小3以上対象。
楽譜の指示がない場合の、ペダルの考え方を知りましょう。
これも作曲家や時代背景を知る必要が出てきます。
時代背景などの知識力については、以下記事からご覧ください。
ピアノの知識・経験力UP(作成中)
この記事の参考文献